家に帰るまでの時間をその日にしかない瞬間で埋めたいなと思ったから。
今日みたいに小雨が降る水曜の夜は特にちょうどいい。
人気(ひとけ)がまばらな夜の商店街や幹線道路、薄明かりのちょっとした小道は昼に仕事で味わうプレッシャーを解放してくれて、自由で何にも縛られない時間を噛み締めることができる。
今夜は日暮里で降りてみることにした。
朝の通勤電車からみる谷中霊園の紫陽花がきれいだった。夏に向けて少しずつ瑞々しくなる景色の中で、終わりかけの季節の花を愛でることが癒しになると思ったからここで降りたのだけれど。
どうしてだろう、飲みたい缶チューハイを探していたら西日暮里の方まで来てしまったから、このまま歩く。
この街の夜の印象は一言で言うなら猥雑で、立ちんぼにガルバの客引き、場末感あるキャバクラが煌々と輝く味わい深い街だった。
あとなんか中華料理屋がどこもかしこも美味しそうなのである。
特に惹かれるのは、雲南省とかそんな感じで中国の中でも地方の料理に重きを置いていて、昭和の頃からこの街に根付いている華僑の文化を感じられるからなおいい。
【3階は緑、2階はピンク、そして1階は絶対に美味しそうな中華屋がきらりと光る】
【フォントがかわいいルートにっぽり】
地図を見ながら歩くと、次は「エーゲ海」がある角で曲がる必要がある。
昭和の香りがするスナックだったらいいなと想像しながら進むと、そんな予想からは恐れ多い大きなラブホテルだった。本当によく目立つので、きっとこのあたりのシンボルであろう。
この先の大きな線路を渡れば、すぐに西日暮里に着く。
歩きながら、また冷たい缶チューハイを片手に夜の東京を散歩したいと思った。もうすぐ好きな季節がくる。